「門徒総代まで つとめたけれど」
「あんたを待っとったんや」
住職は、笑顔で迎えてくれたのですが、教えを伝えるためでは
なく、雨漏り修理の資金集めを頼むためでした。「弥陀の本願、
聞きたい」と頼んでも、願いはかなえられませんでした。
京都に、石本一雄さん(仮名)宅があります。若い頃から、本願寺
へ通ったのですが、何の情熱も感じられず、
「親鸞さまや蓮如さまのように、もっと熱烈に布教するのが、浄土真宗でなかろうか」
と思っていました。
あるとき、親戚に誘われて、高森先生の法話に参詣し、
「弥陀の本願三十六字を、あれほどていねいに教えていただいたことはあり
ませんでした」
と、感激したそうです。
同じころ、本願寺末寺の住職のたっての頼みで、門徒総代をつとめること
になりました。あいさつに行くと、
「あんたを待っとったんや!」
と、笑顔の住職。そのねらいは、人望の厚い石本さんに、門徒をまわって、
本堂の雨漏りを修理する資金を集めてもらうことだったのです。
引き受けたから、しかたありません。石本さんは募財にまわりながらも、
「仏法は説かないのに、お金だけは集めていく」
と、不審はつのるばかりでした。
やはり、親鸞聖人の教えが聞きたい。
そこで、ある会合で、住職に頼みました。
「今までの話は、なっとらん。阿弥陀仏の本願を、あきらかに教えてくれる
人はおられないのですか。おられないなら、高森先生を招待してほしい」
とお願いしたのですが、住職は、困り果てるばかり。
まわりの人も、
「まあ、まあ、そこらにしといたら」
となだめるので、
「なんとか、なんとかと思って、今までやってきましたが、もうやる気にな
れません」
と、2年で門徒総代を辞めたのでした。
親鸞聖人の教えが聞きたい。
石本さんは、さっそく親鸞会の講師を招いて、自宅での講演会を始めた
です。仏縁深い息子さん夫婦も、手伝って、毎回、たくさんの参詣者で、
にぎわっています。
「石本さん一家は、仏法を大事にする、いい人ばかり」
と近所でも評判のご一家です。
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